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圧着張りは、下地面にあらかじめ張付けモルタルを塗り付けておき、そこにタイルを押しつけて張る工法である。白華防止と作業能率向上を目的として考えられた工法で、現在でも比較的多く行われている。タイルの張付けの際に、木づちやハンマーの柄、たたき板を用いてたたき込むなど入念に施工すれば、効率も良く、接着力、白華防止効果ともに良好である。ただし、張付けモルタルは下地側に塗られるため、オープンタイム(※)の影響を受けやすく、塗り置き時間を長くとりすぎると接着力が急激に低下する点に注意しなければならない。
圧着張りの張付けモルタルがオープンタイムの影響を受けやすく、接着不良につながる点を改良した工法である。下地をつくり、張付けモルタルを下地側に塗り付けるまでは同じであるが、さらにタイル側にも張付けモルタルを塗り付けながら壁面に押しつけて行くところが特長である。タイル裏面にもモルタルを塗るため、下地側のモルタルがある程度硬くなっていても、タイルとモルタルのなじみが良い。圧着張りと改良積上げ張りの両方の長所を生かした、きわめて安全性の高い工法となっている。
建設省(=現国土交通省)の「建築工事共通仕様書」の昭和56年版から採用された最新工法が、この密着張りである。あらかじめ調整した下地に張付けモルタルを塗り、タイルを押しつけたうえから専用の衝撃工具でタイル面に衝撃を加えながら張付ける。これによって張付けモルタルがやわらかくなり、タイルはこの中にもみ込まれるため、バラつきの少ない、十分な接着力が得られる。さらに、目地部分に盛り上がってくるモルタルを目地ごてで押えて、目地も同時に仕上げてしまう。タイルは張付けモルタルと目地によって抱きかかえられる状態となるため剥離の心配がきわめて少ない。
この工法は、建築現場でタイルまたはタイルユニットを型枠に前もって固定し、コンクリート打設と同時にタイルを張上げる工法で、タイルシート法と目地ます法、棧木法があるが、ここではタイルシート法をとりあげる。
■タイルシート工法 多数個のタイルを紙または樹脂フィルムなどで連結裏打ちし、所定の目地幅と目地深さ得られるように加工したタイルユニットを現場で型枠に取り付ける。ここにコンクリートを打設し、型枠除去後、ユニットを構成する副資材を引き剥がすと、躯体にタイルが打ち込まれた状態で残るという工法である。
PC板工場で、PC板製造の際に、型枠ベッドにタイルを敷き並べておいてから、コンクリートを流し込み、タイルの張上ったPC板を作る工法で、最近では高層ビルにこの工法が採用されることが多く、タイルシート法とタイル単体法がある。
■タイルシート工法
主として二丁掛以下、とくに50角、50角2丁程度のモザイクタイルに適用される。紙または樹脂フィルムなどで、ユニット化されたタイルを、型枠ベッドに両面テープ、糊などで固定し、コンクリート打ちする方法である。
目地形成とタイル表面へのセメント流出を防止する目的であらかじめ目地加工を施したシートを使用する場合と、仮目地材(発泡スチロールなど)を充填する場合とがある。
■タイル単体法
型枠ベッドに、木、硬質ゴム、発泡プラスチックなどの目地棧または目地ますを取付け、これに合わせながらタイルを1枚ずつ配列する方法で、主に小口平以上の大きさに適用する。
この工法の中には、タイルを配列しながら同時に目地棧を設置して行く「置目地法」と、硬質ゴムまたは発泡スチロール製の目地ますを配列固定し、これにタイルをはめ込んで行く「目地ます法」とがある。
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